賃貸物件の共用部分とはどこまで?ドアやベランダ使用での注意点も解説

賃貸物件のように複数人の入居者が利用する場所では、専有部分だけでなく共用部分があるため利用には注意が必要です。
どこからが共有部分であるかを理解し、入居者や管理会社とトラブルにならないようにしましょう。
今回は、代表的な共用部分であるドアとベランダについて解説しています。
賃貸物件の共用部分とは

共用部分とは、入居者全員が利用するエリアや設備を指し、物件の管理や生活の質に大きく影響します。
ここでは、共用部分に関する管理規約、配管、構造について解説します。
管理規約
共用部分の使用や管理方法は、各物件の管理規約によって定められています。
管理規約は、区分所有者や入居者が守るべきルールを明文化したもので、共用部分の使用制限や維持管理の方法が記載されています。
たとえば、共用廊下やエントランスの使用方法、清掃の頻度、修繕の際の費用負担などです。
入居前に管理規約を確認することで、共用部分の利用に関するルールや制限を理解し、トラブルを未然に防ぐことができます。
とくに、ペットの飼育や共用部分での喫煙など、物件ごとに異なる規定があるため注意しましょう。
配管
共用部分には、建物全体で使用される配管設備が含まれます。
給水管や排水管、ガス管などの主要な配管は、共用部分として管理され、各住戸に供給されています。
これらの配管は、建物全体のライフラインを支える重要な設備であり、定期的な点検やメンテナンスが必要です。
万が一、共用部分の配管に不具合が生じた場合、全住戸に影響を及ぼす可能性があるため、迅速な対応が求められます。
また、専有部分と共用部分の配管が一体となっている場合、管理組合が一括して管理・修繕をおこなうことが一般的です。
この際、専有部分の配管の修繕費用負担については、管理規約で定められていることが多いため、事前に確認しておくことが重要です。
構造
建物の構造上、共用部分は建物全体の安全性や耐久性に直結しています。
たとえば、外壁や屋根、基礎部分などは共用部分として扱われ、これらの維持管理は管理組合の責任となります。
これらの部分に不具合が生じると、建物全体の安全性が損なわれる可能性があるため、定期的な点検や修繕が欠かせません。
また、共用部分の改修や変更をおこなう際には、管理規約に基づき、区分所有者全員の合意や総会での決議が必要となる場合があります。
そのため、入居者は、共用部分の構造や管理体制について理解し、適切な維持管理がおこなわれている物件を選ぶのが良いでしょう。
玄関ドアは表と裏で共有区分か専有部分が違う

マンションの玄関ドアは、外側が共有部分、内側が専有部分と区分されることが一般的です。
ここでは、外側が共有部分である理由、内側が専有部分である意味、そして共有部分のリフォームに関する注意点について解説します。
外側が共有部分
玄関ドアの外側は、マンション全体の外観や防火性能に関わるため、共有部分とされています。
そのため、外側の塗装やデザインの変更、修繕をおこなう際には、管理組合の許可が必要となります。
無断で変更をおこなうと、マンション全体の美観や安全性に影響を及ぼす可能性があるため、他の住民とのトラブルが発生するかもしれません。
また、共有部分として扱われるため、外側の修繕費用は多くの場合、管理組合が負担するケースが一般的です。
しかし、修繕の範囲や費用負担に関しては、物件ごとに異なることもあるため、事前に管理規約を確認し、理解しておきましょう。
とくに、デザインや色彩が厳密に指定されている場合もあるため、外側の変更を検討する際は、管理組合と調整しなくてはいけません。
内側が専有部分
一方、玄関ドアの内側は専有部分とされており、居住者の判断で装飾や修繕をおこなうことが可能です。
たとえば、内側の塗装やフックの取り付け、ドアストッパーの設置などは、個人の自由でおこなうことができ、他の住民に影響を与えません。
ただし、ドア自体の構造に大きな変更を加えたり、外側に影響が及ぶ改造をおこなったりすることは避けましょう。
内側の修繕や改装に関する費用は、原則として居住者自身が負担することになり、その責任も個人に帰属します。
また、内側の装飾が、火災や地震時の安全性に影響を及ぼさないかも考慮しなくてはいけません。
専有部分であっても、物件の管理規約に違反しない範囲でのリフォームをおこなうことが望ましいといえるでしょう。
共有部分のリフォームについての注意点
共有部分である玄関ドアの外側をリフォームする場合、管理組合の承認を得ることが義務付けられています。
たとえば、ドアの交換や外側の塗装変更を希望する場合には、事前に管理組合に申請し、許可を得なくてはなりません。
無断での変更は、他の住民とのトラブルやマンション全体の統一感を損なう原因となるため、必ず所定の手続きを踏みましょう。
また、管理規約によっては、玄関ドアのデザインや色彩が厳密に指定されている場合もあるため、規約に沿った変更をおこないましょう。
とくに、外観に影響が及ぶ際は、管理組合や他の住民の理解を得ることが、スムーズな手続きとトラブル防止に繋がります。
これらの規則を理解した上で、適切に手続きを進めることが、住環境の快適さを保つために重要です。
共用部分であるベランダの使い方の注意点

マンションのベランダは、専有部分のように見えますが、実際には共用部分として扱われます。
そのため、使用方法には一定の制約があり、他の住民への配慮が求められます。
共用部分としてのベランダ
マンションのベランダは、区分所有法において共用部分とされています。
ただし、各住戸の所有者に専用使用権が与えられており、個別に利用することが可能です。
しかし、共用部分である以上、管理規約や使用細則に従った利用をしなくてはいけません。
たとえば、避難経路としての機能を果たすため、物を置きすぎて通路を塞ぐことは避けましょう。
また、建物の美観や安全性を保つため、外観を損なうような装飾や改造も制限される場合があります。
これらの規約は、マンションごとに異なるため、入居前に確認することが重要です。
ベランダでの花火の禁止
ベランダでの花火は、火災のリスクが高いため、多くのマンションで禁止されています。
なぜなら、火の粉が飛散し、建物や他の住戸に被害を及ぼす可能性があるからです。
また、煙や音が近隣住民の迷惑となることも考えられます。
そのため、夏のイベントなどで花火を楽しみたい場合は、指定された場所や公園など、安全が確保された場所でおこなうようにしましょう。
マンションの管理規約や使用細則には、花火の使用に関する規定が明記されていることが多いため、事前に確認し、遵守することが大切です。
ベランダでの喫煙に関する注意点
ベランダでの喫煙は、煙や臭いが他の住戸に流れ込み、近隣住民とのトラブルの原因となるかもしれません。
そのため、多くのマンションでは、ベランダでの喫煙を禁止または制限している場合があります。
また、健康増進法の改正により、受動喫煙防止の観点から、共用部分での喫煙が規制されるケースも増えています。
喫煙者の方は、マンションの管理規約や使用細則を確認し、指定された喫煙場所を利用するなど、他の住民への配慮を心がけましょう。
快適なマンション生活を送るためには、他の住民への配慮とルールの遵守が不可欠です。
まとめ
アパートやマンションには、共用部分という入居者全員が利用するエリアや設備が存在します。
入居前に管理規約を確認することで、共用部分の利用に関するルールや制限を理解し、トラブルを未然に防ぐことができます。
快適なマンション生活を送るためには、他の住民への配慮とルールの遵守をこころがけましょう。